というわけで、名古屋から近鉄線に飛び乗って、急行で25分くらい、桑名駅で乗り換えて単線の3両編成の電車(しかも30分おき)で養老駅まで50分くらいの旅。突然思い立った電車の旅に、ケータイサイトの乗換案内はホント便利だなぁとつくづく感心。ちなみにJRを利用するとちょこっとだけ早くてちょこっとだけ料金高めです。
さて、辿り着きました『養老天命反転地』。というかそもそも「養老」って地名だったのね。どうしてこの地に作られたかの由来は知らないけど、作品タイトルに見事にハマっているのが凄い。『足立天命反転地』よりもサマになるもんなぁ、『養老天命反転地』。
平衡感覚を失う摺り鉢状の公園みたいなココ、「工事業者はタイヘンだったろうなぁ」という現実的な感想もあるんだけど、そんな思いも忘れるほどに、ココに入ったとたん、気ままにあちこち突入したり潜ったり滑ったり躓いたり屈んだりぶつけたり。その使用法の一番下にも書いてある「想像のへそ」で真剣な顔をして後向きに歩いてる小学生がとても印象的だった。「あ、そうか。ここは後向きに歩くんだっけ?」とその小学生に訊いたら真顔で黙って頷いて後ろ向きのままどこかに行ってしまった。
直前の展示で見た、作品に哲学的な思考を詰めこんだ荒川修作という人の行き着いたところが、もはやあれこれ考えずに感覚で動け、みたいなところだったのが面白くて。実際はやっぱりいろんな意味が詰まってるんだろうけど、いざここに放り込まれたら何も考えずに純粋に楽しむしか無いもん。ホント楽しかったー。
ここ最近、「危険なこと」に対する意識が薄れてきているような気がします。それはたとえばガスコンロが電熱器に変わったことによって「火」が家庭から無くなって安全、みたいな。で、いざ火事になったりすると「火」の扱い方を知らないもんだからどうしたら良いか分からなくてパニクったり。「危険」を排除することで「危険」の「危険度」を増しちゃってるみたいなところがあるんじゃないかと思う。
で、ここ『養老天命反転地』ではケガなんていうのはごく普通のことで、極端なハナシ、ひょっとしたら死んじゃう人が出てもそれはそれでしょうがないかもな、とか思ったりもします。というか誰も攻められないだろ、って。自己責任てやつか。だって人は転んだり落っこちたりしたら死んじゃう可能性もあるし。ココでそういう体験をしてもいいんじゃないかなぁと。なんならバンジージャンプみたいに同意書にサインさせるとかね。
だから荒川修作の意に反してだと思うけど、ところどころ「頭上注意」「上にのるな危険」とか書いてあったり、実際そこに乗っちゃった人に係員が「危ないから降りなさい!」と怒鳴ってるのが皮肉にも可笑しくて。そんなこと言うんだったらココ全部が危険ですよっつーの。どこまでが安全でどこからが危険なのか教えてくれっつーの。ちなみにウチの連れは、ココの入口のまったく関係無いところでコケましたが何か。
まぁでもとにかく、考えるのは後で。ココではただ無心に、でっかいジャングルジムのような感じで遊びまくるに限る。ホントに面白いところだったー。
今日の1冊:養老天命反転地—荒川修作+マドリン・ギンズ 建築的実験
ii tokoro ittane!
いいでしょー。名古屋方面行ったら是非行くべき。
こっちのほうがよっぽど愛・地球博だったかも(笑)