BOOK1を読み終えた時点では、青豆が自分で「この世界を『1Q84』と呼ぶことにする」って定義付けちゃうのが説明臭いし突然そんな都合良くシャレたネーミングするか普通?と思ったところ以外はそれなりに村上語録をつまみながらサクサク読み進めることができた。途中から殺人、乱交、宗教、レイプとかの要素が散りばめられてきたあたりから、この小説、もしも村上春樹名義じゃなくて、たとえば村上龍名義で出ていたとしても、気付かない人は何人か居るんじゃないか、とも思ったりもしたけれど。
ともあれBOOK1最後の一文を読み終えたときには、ワクワクしてBOOK2を早く読み進めたい、という気になったのは事実。
ひと月くらい前に本屋に行ったら『ダ・ヴィンチ・コード』が文庫化されたっていうんで平積みっていうか山積みになっていた。名前はなんとなく聞いたことあるっていう程度だったんだけど、その山積み周辺に並んでた『ダ・ヴィンチの絵画に隠された秘密(仮名)』的な本とか『名画の秘密を読み解く(仮名)』的な内容の画集もどきみたいのが面白そうで、そんな面白そうな内容の物語なのか!と衝動的に文庫を上中下まとめて買ったのでした。
読み初めは謎解きワクワクっていうのもあってとても面白かった。暗号がフィボナッチ数列と関係あるとか、ちょうど直前にテレビの『コマネチ大学数学科』でフィボナッチ数列をやっていたっていうのもあってタイムリーだったっていうのもあったのかも。で、ストーリーもさることながら謎解きも黄金比とか興味深いところに行ってくれてんなぁとか思っていたのだけど、なんつーか、話が進むにつれて物語がハリウッド感増してきて、ダ・ヴィンチっていうのはたんにキッカケにすぎないんだよね、とか気付いた途端につまらなくなっちゃった。
(続きはネタバレアリ)
ネットをふらふらしていたら、中島らも原作の『寝ずの番』という映画が来月公開されるという情報を遅ればせながらゲットしまして。
で、監督は津川雅彦が「マキノ雅彦」という名前でやるっていうじゃないですか。
キャストも、中井貴一と木村佳乃っていう、真顔でコメディやらせたらレベル高いと僕が常々思ってる人選。
この本はまだ読んでないんだけど、面白そうだなぁと思って公開日とか調べてみたら、前売券が1,000円(安!)発売中で、しかも前売特典で「手ぬぐい」が付いてくるらしい。なんだかお得だなぁと急に盛り上がって、先週土曜日にシネスイッチ銀座まで行って前売券2枚買ったんです。もちろん手ぬぐいも2枚もらいました。
月9の『西遊記』がはてしなくつまらない。らしい。
しかも運の悪いことに、MXテレビでマチャアキのほうの再放送やってるし。
岩波文庫全10巻にもなる長編ストーリーを1クールでサックリやろうって事がそもそも違うんだけど。
突然ですが告白します。
僕、赤瀬川原平が好きです。
もう知ってますか、そうですか。
まぁ、ずーっと前から周りからさんざん言われているけど、最近になってようやく自分でも気付きはじめました。というか気付く事を認めるようになったっていうか。これまでは「あ、僕、赤瀬川原平好きなんです」って云うときの照れみたいなものがあったかもしれない。「俺はもうちょっとヤングだぜ」みたいな気負いがあったんだと思う。だけどもはや「老人力」すら芽生えはじめている最近になっては、もう好きなんだからいいんじゃないかもはや、という開き直りとか素直とか丸出しとか、そんな気分です。
そりゃあ、ずっと前から続けている写真ネタとか、最近NEUT.でチャレンジした紙幣ネタでドキドキしたりとか、なんかしら気付くと赤瀬川氏のやってきた事にシンパシーを感じるっていうのも当然ある。だけどそれだけじゃなくて、こうして徒然と文を書いていて、とくに最近、文章について一生懸命考えれば考えるほど、コトバの使い方だったり選び方だったり展開だったり、そういうところも非常に影響を受けているような気がするのです。
「あーあるある」みたいなところを突いてきたり、組み合わせたりするのが上手くて、なんだかとてもニクくて。
『トマソン』とかの定番はともかく『新解さんの謎』単行本の後半に入ってるエッセイ「紙がみの消息」なんかは隠れた名エッセイで、紙に接するグラフィックデザイナー必読の書、だと思う。
Banksyの作品集、『Wall and Piece』を買ったのでパラパラ見てました。
Banksyのgraffitiはいろんな本にも少しずつ載ってるし、ロンドンに行けばあちこちに描かれてるのが見れるんだけど、一冊に詰まっているとそりゃあ圧巻ていうか。
なんたってアイデアが面白いし、出来上がったモノの質もいいので、いちいちニヤニヤしながらニクいなぁとか思いながら眺めてました。
洒落が利いているのが、いいよねぇ。
で、Banksyといえばステンシルのやつが最も有名で、あとはこないだの美術館のやつなんかもバッチリ載ってんだけど、「あーこれもそうなんだー」みたいのも載ってて。
なんだか現代詩ってアタマでっかちで小難しくて、読んでもなにがなんだかサッパリ、みたいなところもあるので、周辺も知ってみようかなぁと思ってパラパラと。
中身も予想通りアタマでっかちで小難しいんだけど、でもいくつかの章は分かりやすかったし湾岸戦争のあたりの話とか興味深くて実は面白かった。
それにしても批評家って大変だなぁ。必死に詩の裏側とか読み取らなくちゃいけないっぽいし。果たしてホントにそこまで考えて詩人は書いたのか本人すら分からんこともあるだろうに。アタマでっかちで小難しくしてるのは批評家なんだよな。というかそれが仕事だもんな。俺には無理。
正直、『海辺のカフカ』『アフターダーク』と最近のやつはちょっと僕的(って何)にはいまいちピンと来てなかった村上春樹の短編集、『東京奇譚集』読みました。ていうか村上春樹本人は『若い読者のための短編小説案内』の中で「自分は長編を書くのが好きだし合ってると思う」って書いていたような気がするんだけど、僕は短編のほうが好きです。『神の子たちはみな踊る』とか。『カフカ』『アフター…』は長編と言うには中途半端な長さだと思ったし(「中篇」という感じ)、実際内容も中途半端に感じたのでした。『世界の終わりと…』とか『ねじまき鳥…』くらいの長編(あるいは大長編)になるととてつもなく良いんだけど。
こないだの父の還暦祝いのためにアカ塚本をあれこれ探して、父にはタイトルがストレートかつ同時代性を共有できるような内容の「これでいいのだ!」をプレゼントしたのだけど、個人的にアカツカ・インサイドを知りたくて買ったのがこの本。
「レッツラ・ゴン」で本編にまで登場した武居記者の書きおろしのアカツカ半生記。今は病院で眠り続けているので、あとどれだけ半生があるのか分からないけど、とにかく赤塚大先生が起きていたころの仰天と素敵なエピソード目白押し。ちょっと感動もアリ。生まれついての漫画人っぷりが最高で。本人の生き様が既に漫画で。
先日の『ダブリン市民』の後、『若い芸術家の肖像』を経由して読みはじめた『ユリシーズ』。とりあえず1巻目を読了。とにかくこのハナシ、メチャメチャ面白い。
簡単にあらすじを説明すると、(いちおう)主人公ブルームが、ダラダラウロウロとダブリンの街を日常のように歩くだけの話、みたいな事が良く言われているけど、でもまったくその通り。
とはいうものの、文庫4巻ぶんもの文章量。「意識の流れ」とか言われている表現手法みたいなもんで描かれているんだけど、それがものすごく面白い。もう、脳内独白垂れ流し、みたいな感じ。
ブルームの目に前の現実に対しての言動、そのモノに対する思い、さっきまで思い出せなかったコト、ふとひらめいたダジャレ、オペラ、聖書の引用、などなどとにかく思ったことをダラダラいちいち書き記すことで、状況がいきいきと描かれ、ダブリンの一日が僕の脳内にリアルに再現されていく(行ったことないけど)。
というわけで、読んでみた。
結論から言うと、ダメだった。受け付けなかった。苦手。
最初、薄い本だなーと思って読みはじめて、あえて使ってる難しめの漢字とか工夫の跡が見える表現を追ってるうちに、次第にここで書かれていることが「物語」ではなく「俺」の「青年の主張」とか「10代しゃべり場」ということに気付いてしまった。モブ・ノリオの歳だと「30代しゃべり場」か。てっきり「介護入門」なんてタイトルだけど実はヒネリのあるストーリーでゴキゲンな物語だと思っていたものだから。「介護入門」そのまんまの本だったとは知りませんでした。
介護は大変っていうのは分かるけど、それを金髪でマリファナでこの文体で吠えると芥川賞っていうのがよく分からないんだよなぁ。そもそもこの文体がラップ調とかってあちこちで言われてるけど、どこがラップ調なのか分からなかった。表紙に堂々と描かれてるわりにはマリファナの演出も中途半端だし。「介護してる」自分だけが正しいかのような言いぶりにちょっと引いた。ダメ人間と思われてますけどホントは素直なおばあちゃん想いのいい子なんです、って自ら主張してるところが読んでて居心地悪いのかな。
まぁとにかく、僕には合わなかったということです。
タメになったのは介護ベッドは介護者の腰を痛めないので便利、っていうことくらい。
今日の1冊:介護入門 / モブ・ノリオ
さて、村上龍の新作が出るというので予約してみた。彼の本を読むのは『希望の国のエクソダス』以来かなぁ。なんか、いつも思うのだけど、彼の小説を読んでいる間は心拍数が普段よりも高まる。単純にドキドキしているっていう感じじゃなくて「血が騒ぐ」みたいな表現のほうが正しいかもしれない。
1月に某雑誌の企画で祖父江慎さんのところに行ったときに、彼がエディトリアルデザインしてるっていうんで見せてもらった『よりみち パン!セ』シリーズの中で、一番ソソるタイトルの本がコレだった。いちおう文字に関わるデザイン業もやってるので白川静大先生の本も押さえなきゃアカンなぁと思いつつ、早速ブックファーストでこれら2冊を購入するも、真っ先に開いたのはやっぱりこっちの本だった。
もうのっけから「そもそも男は金玉に支配されている生き物なのです」みたいなこと書いてる。僕が白川静大先生の本よりも、こっちの本に魅かれたり、先に読むという衝動に駆られたのも、やっぱり僕も金玉人間だったのだなぁと改めて認識したワケです。
このシリーズのコンセプトが中学生以上に向けて教科書では教えないタメになる教科書、みたいな感じだったと思うのだけど、もう、みうらじゅんの得意分野を得意の絶妙な例えで説明するんだからハマらないワケがない。ていうかむしろ先生、説明しすぎです例えが面白すぎますそこまで行ったら先走りすぎですよ、っていうくらいのみうらワールドでした。100% Orangeによるイラストは表紙だけで、肝心なエロ風味のところのイラストは別の小学館のコミック図鑑みたいなタッチになっているのも雰囲気抜群。この本、中学生のときに読んだらきっと立派な金玉人間か、女子なら立花満子になると思う。
今日、天野一家がダブリンに引越した。かつてはPENTAGON YEBISUでシェアオフィスしたりして楽しかった。ダブリンなんて近いからそれほどさみしくもないのだけど、明日酒飲もーぜ、とか、クルマでサックリ出かけよーぜ、なんてワケにいかないのが辛い。
天野が(とりあえずの)海外移住先をダブリンにするって決めたのとほとんど同じくらいに『ダブリン市民』を読み始めた。ジョイスはかつてハードカバーの柳瀬訳『フィネガンズ・ウェイク』の出版当時に飛び付きながら数ページで挫折、近頃文庫版で再登場したのを再度トライするも「いきなり柳瀬訳の最上級レベルから入ってはマズかろう」と『ユリシーズ』を柳瀬訳・完訳とカジったものの「やっぱしジョイスを初期の作品から読んでいったほうがいいカモね」と思い直したのだった。ここまで来るのに既に長い。